あぶない旅の想い出–ロワール河

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 翌日も時差の影響や長旅の疲れを癒すためにパリにとどまった。ホテルは私が若いころ住んでいた建物に近いところにあったので朝食後に散歩がてら行ってみた。既に30年以上経っているがあたりの風景は全く変わっていない。自分の住んでいた部屋を見上げた。屋根裏部屋に開けられた白い木枠の窓。その中で1年くらい暮らした。昔は女中部屋だったところだ。このあたりは高級住宅街だから私が住めるような家賃ではかつての使用人の部屋が精いっぱいだった。入り口も建物の住人とは区別されている。建物の裏側に小さな扉があり、入るなり階段だ。他には何もない。階段は狭いらせん状のすり減った石段で5階(日本風に言えば6階)の自分の部屋まで直通だ。フランス人はこのような階段をエスカルゴ(かたつむり)と呼んでいる。